【完】素直になれよ。
「…嘘じゃねーよ……」
突き飛ばされた織川は
照れたように鼻先を指で触りながら
ボソッと何かを呟いていたけど
ゲーセンの中のジャラジャラとした音に掻き消されて、なにも聞こえなかった。
「織川っ。」
「…なんだよ。」
「今度はあれ、やる。」
「…マジかよ。」
私が織川のちょうど真後ろにある"それ"を指差すと、
織川は顔をしかめた。
あんたに振り回されてばっかりじゃ…私の気が済まない。
そんなわけのわからない闘争心と、もう一つ。
ただ一緒にいて楽しいと思えるこの瞬間を、
私は形にしたかった。