【完】素直になれよ。
__________…。
『上目遣いでセクシーっ。指を顎に添えてぇ、
ハイッ。さんっ、にー、いちっ。』
パシャッ。
この狭い空間に流れる陽気な声に従うこともなく、
ただ両手にピースだけを作っていた私たち。
『撮影が終わったよ。次はライトの落書きコーナーに移動してねっ。バイバーイッ!』
そう。
私が無理やり織川を引きずりこんだのは
"プリクラ"。
カバンを持って、指示通りに落書きコーナーへ進む。
「俺初めて撮ったわ。」
「えっ、そうなの?」
「だって女子のもんだろ?プリクラって。」
「そうでもないんじゃない?今の時代」
そういいながら私は
慣れた手つきで落書き用のペンを動かす。
横にいる織川は
そんな私の手つきをぼーっと見ているだけ。
ここでは私の方が上手みたい。