【完】素直になれよ。
「へぇ。お前いま楽しいんだ?」
「え……。や…それはその…」
やばいまたペースに乗せられる…っ。
そう思った矢先、
プリクラがプリントアウトされて
外に出てきた。
「あっ、ほら出てきた。」
うまい具合に話をすり替えて
プリクラの片割れを織川に差し出した。
「おー…サンキュ。」
不思議そうにそれを受け取る織川。
本当に初めてなんだ。
その相手が私って
なんか少し、嬉しい。
「…これ、なんて書いてあんだ?ちっちゃくて読めねーよ。」
織川はメガネを上に持ち上げて
顔をプリクラに近づける。
「そ…それは読まなくていいの!」
「あ、そうだ。お前が書いたんだろ?教えろよ。」
「いや!ゼーッタイいや!」
私は織川にそういって
向きを変えて歩き出す。
絶対。教えてやらない。
私は自分で持っているプリクラを持ち上げて、
たった一枚に書いた
小さな小さなメッセージを、心の中で読み上げた。