【完】素直になれよ。
そのまま肩をぎゅっときつく抱き締めると
ピクンッと跳ねる久留米の肩。
…んな可愛い反応すんなよ……。
桜井がニヤニヤと
こちらを眺めていることにも気づかないほど
俺の頭の中は
久留米のことでいっぱいだった。
「私…夢見たの。」
籠った声で、少し鼻をすすりながら
久留米は話し出した。
「みんな私の存在を忘れて、どっか行っちゃうの。
…だけど、織川だけは
なんでかずっとそばにいてくれてたんだけどさ……」
そこまで言うと
また久留米は俺の背中に回す腕に力を込めた。
「……一言…言い残して…いなくなっちゃったんだ。」
「一言…?」
そう訪ねても久留米はこれ以上詳しく
夢の内容を話そうとはしなかった。
ただ
「夢で良かった…」
そう言うだけで、なにも。