【完】素直になれよ。
「そばにいて」…衿華side
ゲーセンから外に出たとき
もう外は日が沈み始めていた。
織川は「送ってく」って言ったけど、大丈夫だからと断って
私は一人で帰ったんだ。
なんか...
朝の嫌がらせが
ずっと前の事のように思える。
それにもう心は軽くなってた。
悔しいけど...
織川のおかげ、なんだよね。
そんなことを思いながら
犬のぬいぐるみを
大事に抱えて家路を歩いた。
『懐くと......可愛くなるとことか。』――――――
不意に耳元で蘇る、織川の声。
思いだすのも恥ずかしいくらいに
胸がキュッと締め付けられる。
「バカ織川...」
いてもたってもいられなくなって、
ぬいぐるみを強く抱きしめた。