【完】素直になれよ。
「わかんねぇ」…結斗side
____…。
放課後、俺は知らない女に呼び出されて、一度も入ったことのない部屋に連れ込まれた。
なんだここ…
机や椅子の並び方は教室と変わりないが
周りにはハケやらパレットが無造作に並べられていたり、
水道に黄色いバケツが転がっていたりする。
しばらく辺りを見渡して、
やっとここが美術室だということを理解した俺は、
俺をここまで引っ張ってきた女に目を向けた。
「何の用だ?」
女は振り返って「ふふ」と笑った。
「本当に本当なんだぁ…織川くんが豹変しちゃったって、ウワサ」
"ウワサ"って部分をやけに強調してくる。
女は長くふわっとした感じの髪の毛をいじりながら
また俺に微笑みかける。
なんなんだ…?こいつ。