【完】素直になれよ。
「久留米さんのこと、好きなの…?」
今度は真剣な目つきで、目をうるうるさせながらこちらを見つめてくる。
こんな表情されたら、その辺の男はイチコロ。
それを悟っているかのような目つきにも見えた。
「それとも、同情?」
「…あ?」
同情?…
「久留米さんが周りから避けられてることに同情して、近づいた…とか?」
「…同情なんかじゃねー……」
確かにあいつに近づいたのは好意なんかじゃない。
好奇心のようなものに近かった。
けど……
「じゃあなに?本気で好きなんだぁ?」
ふわっと鼻腔をくすぐる甘い匂いで、女が距離を詰めていることに気がついた。
こんなことをされても、全く動じない俺の身体。
あー、そうだよ。
俺の胸んなかも、身体の熱も、
動かすのは全部…久留米だけなんだよ。