【完】素直になれよ。




「…本気だ。」


女の目をまっすぐ見て俺は答えた。


「…そうなんだ……。」


女は笑顔を消して、俯いた。


「用がないんなら俺もう行くわ。」


「ま…待って!織川くんっっ」



その場から立ち去ろうとした瞬間、俺の腕に女が巻きついた。


なんだよ…早く保健室行かなきゃなんねーのに……。



少しイラつきながら足を止めた。



「織川くんは、あの子の噂のこと知っても…好きなの?」


「…は?」


「久留米さんって、男遊び激しいって…みんな言ってるでしょ?」



また久留米のことかよ…。



呆れながらも俺は答えた。



「誤解なんだよ。あいつは一人で、誤解されたまま……さみしい思いをしてたんだ。」


「なんで…そんなことわかるの?」



…っ。


そのとき、俺の腕に絡む女の腕の力が増した。



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