【完】素直になれよ。




なんなんだよこの女…。


鋭い目つきで上目遣いで俺のことを見上げる。


まるで俺は、蛇に睨まれたカエルのように固まって、


彼女を引き離せないでいた。



「彼女から聞いたの?」


「…たまたま聞こえたんだよ。あいつが男嫌いだって、話してるところが。」


「ふーん……。でも、火のないところに煙は立たないよ。」


「……あ?」



またニヤッと怪しい笑みを浮かべる女を、俺は睨みつけた。



「久留米さん、男嫌いなのかなぁ?私には…織川くんの気を引くために……嘘を言ってるとしか思えないんだよね…。」



……ドンッ。


その瞬間俺は、無意識に女を腕から引き離して、


すぐそばの壁に押さえ込んでいた。



「…ざけんなよ……。」



自分でも驚くくらい低い声が出る。


なのに女は眉一つピクリともさせないで、冷静な表情を保っていた。




「認めたら?あなたは久留米さんの思うように振り回…」


「黙れ。」



女の口を手で抑えると同時、彼女は大きく目を見開いた。



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