【完】素直になれよ。
「お前にあいつの何がわかんだよ」
俺は目をむき出しにして女を上から見下ろした。
頭より身体が先に動く。
あいつのことを考えると、いつもそうだ。
「…んん!」
俺の手の中で、もがくような声が響く。
仕方なく俺は女の口を解放した。
久留米が嘘をつく?
俺の気を引こうとしていた?
…んなの絶対ありえねー。
「あいつの目に嘘なんかない。お前に何言われたって、俺は久留米を信じる。」
思いのままを告げると、女は泣きそうな瞳で俺を見上げた。
「そんなに…本気なの?」
何回も聞くなよ…
「あぁ。……本気で…どうかしてるほど、惚れ込んでんだ。…自分で思うよりも、ずっと。」
こんな歯の浮くセリフを、この俺が言うことになるとはな…。
俺は小さく笑った。