【完】素直になれよ。
俺は目を見張った。
俺が見つめる廊下の先、久留米は東堂に抱きしめられていた。
「......てよ...んなときに」
「...が......せてや...」
離れているせいか、途切れ途切れでしか聞こえない会話。
...んで......振りはらわねんだよ...っ。
「―――――っ...」
我慢できずに俺は久留米の元へ走りだそうとした。
けど、
「ダメじゃん...邪魔したら。」
猫なで声の女...三島李奈とかいうやつに、腕を掴まれて動きを制御させられていた。
「...離せ。」
俺は彼女を方を向いてすぐにそれを振り払い、また走り出そうと身体を正面に向けた。
......そのはずなのに。
俺の足はそのまま一歩も、動かなかった。