【完】素直になれよ。






「......どうゆうことだよ...」




指の先から、ドクンと何かが心臓を打ちつける。



思わず握った掌は冷えていて、俺はその場で固まったように動けないでいた。




「...ほら...言ったじゃん。久留米さんはやっぱり...ただの男好きなんだって。」



女は横でクスッと笑いながら俺に耳打ちしてくる。



......っ...。


俺が見つめる先で、


久留米は東堂と...唇を合わせていた。



次第に深くなっていくキスを、ただただ呆然と見ているだけ。



...呆然と見ることしか、できなかった。




......有り得ない。


久留米は...弾みであんなことをするような奴じゃない。






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