【完】素直になれよ。
「だから俺のキスも...拒まなかったんじゃないかな?」
勝ち誇ったような東堂の顔を見て、虫唾が走った。
胸を刺す痛みは次第に増していく。
「もういいかな。俺、帰んないと。」
「私も...かーえろっと」
二人の声なんて、今の俺には届いていなかった。
「じゃあね...織川くん。」
そう言ってクスッと笑い、俺の前から立ち去って行く東堂の声も...。
「...くそっ......。」
久留米...。
『そばにいて』ってお前...言ったよな?
俺が勝手に、期待して、夢見てたのか...?
...わかんねー......。
もう、なにもかも見えない。
俺はただ一人、廊下で頭を抱えていた。