【完】素直になれよ。
そんな紗希の話を聞きながら電車に揺られて、映画館のある大きなショッピングモールへやってきた。
「あ、そういえば衿華さ、まだあのワンピ着てないの?」
「え?」
「ほら、この前会ったときに買った...」
「あぁ...うん。まだ。」
「早く着ないと、時期過ぎちゃうよ~?」
「だよねぇ...でもなんかもったいなくてさぁ」
中に入ってからも私たちは、そんな他愛もない会話に花を咲かせていた。
なんか...久しぶりにこんなに喋った気がする。
あの日...織川と李奈が抱き合っているところを見てから、
実は織川とは目も合わせていない。
それに、なぜか向うから話しかけてくる気配もない。