【完】素直になれよ。
パチンッ――――!
殺風景なこの空間に響く音。
私は織川の頬を思いきり手で引っ叩いていた。
「...にすんだよ。」
叩いた場所が段々赤みを帯びていくのを見て、私はやっと自分がしたことに気がついた。
「ごめ...今のは......」
「俺わかんねーよ。」
俯いて謝る私の言葉を遮って、織川は言った。
わかんないって...?なにが...?
わかんないのは私の方だよ。
私が居るって知ってて、李奈を抱きしめたんでしょ...?
また。期待してたんだ私。
私が見ていたことに織川が驚いて、それで...『あれは違う。理由があんだよ。』...そう言ってくれるのを。