【完】素直になれよ。






だから思わず手をあげて...って。



私、最低だよね。




「なにが...わかんないの?」



ゆっくり織川にそう尋ねると、彼はまた真剣な目で私を見つめた。



こんなときでも身体は正直なんだね。

どんな理由であれ、見つめられると心臓が跳ねる。



そんな私を差し置いて、織川は言った。




「お前なんで男とキスしてんだよ。」




ドクンッ――――――


織川...見てたの?



「東堂のことが好きなのか?」


「ち、違うよ!」


「じゃあなんでだよ!」



初めて見た。


織川は最低な奴だって言っていた時もあった。


だけどこんな表情は見たこと無かった。



こんな...目をむき出しにした表情。




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