【完】素直になれよ。







俺の方を向いたとき...


久留米の頬は
黒いしずくでぬれていた。



あいつは泣いていた。




涙が黒かったのはたぶん
マスカラのせいだろ...。



演技か...?

いやでも

落とそうとしてる相手に
「くそ男」なんて言うかよ...



「...どーゆうことだ?」




レンズの奥で俺は目を細めた。




なんかむしゃくしゃする...。






俺は握っていたネットを

そのまま水道の底に放り投げて


久留米が行ったあとを追うように廊下を走った。




...あいつ、どこいったんだよ......





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