【完】素直になれよ。
扉の鉛がワイシャツ越しに私の身体を冷やしてくる。
私の腕を押さえつける織川の顔が、上から段々と近づいてくる。
「目覚ましてよ織川っ...」
「...その口、塞いでやるよ。」
至近距離で目がパチッと合う。
鼻が触れる位、距離が詰まる。
本気なの...?
やだ、やめてよ。
こんなのやだ。
「やめて...!!」
私は力づくで、織川を突き飛ばした。
「そうかよ...。」
「え...?」
織川は私の肩を片手で横へ押しのけて、ドアノブに手をかけた。
「東堂とはできて、俺とは出来ないんだな。よくわかった...お前の気持ち。」
扉が開いたのと同時、私は膝から力が抜けて、その冷たいアスファルトの上に座り込んだ。