【完】素直になれよ。
「ハァ......」
呆れてため息しか出てこない。
まだ登校したばっかりなのに、今日で何回目?
教室まで向かう廊下を歩きながらそんなことを思っていると、
ふいに後ろから誰かに声をかけられた。
「衿華ちゃ...久留米っ」
私のことをこの学校で"衿華ちゃん"と呼びそうになる人は、一人しかいない。
「先生...?」
振り向くとそこにいたのは、いつも通り白衣を着ている桜井先生が。
心なし、先生なんか焦ってる...?
肩で息してるし...。
「ちょっと先生、大丈夫?」
先生の近くまで駆け寄って声をかけた。
「ごめんごめん...、衿華ちゃんのこと見つけたらつい走っちゃったよ。」