【完】素直になれよ。
舌をペロッとだして、子供みたいな笑顔を振りまく先生。
あの...ここ、廊下だよ?
"衿華ちゃん"なんて言って大丈夫なんですか...?
...なんて、心配する必要はなかったみたい。
「先生さ、もっと自覚しなよ。」
「...なにを?」
首をかしげる先生に、私はまた何回目かのため息をついた。
だって、廊下にいた女の子全員、先生の笑顔に釘付けになっていたんだ。
もちろんその子たちの耳に、先生や私の言葉が届いているわけがない。
なんせ、みんな先生の仕草に夢中ですから。
「まぁいいよ。で、先生は私に何か用があったんですよね?」
「あ、そうだそうだ。あのさ、衿華ちゃん一週間前の...ポスターの貼り付け頼んだ時......。何かあった?」
――――――え?