【完】素直になれよ。





「俺さ、なかなか戻ってこないから心配で...適当に廊下歩いてたら...」


「み、見たの?!」



周りに人がいることも忘れて、思わず大声を出してしまう。



「...見たって...なにを?」



そんな私に対してまた首を傾げる先生。


...あれ、私いま...墓穴掘った?



「俺、ポスターが地面に散らばってるの見たから衿華ちゃんどこいったのかなと思ってさ...。やっぱり、なんかあった?」



「......。」



なんだろう...。


桜井先生にこうやって見つめられると、嘘がつけなくなる。



って言うより...嘘をついても、簡単に見透かされちゃいそうな感じ。






「もっと早く話したかったんだけどさ...。先週ちょっと仕事が立て込んでたから、ごめんね。」



先生はそう言うと、ポンポンと私の頭の上に掌を優しくのせた。



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