【完】素直になれよ。




「なに笑ってんの?質問に答えなさいよ。」


冷たい扉から身体を離して、優子に言った。


「…なに調子乗ってんの?」



「…は?」



「いっつも独りのやつが、そんな口聞いていいのかっつってんだよ。」



「……っ。」



爪の長い優子の指で、私の頬がぎゅっとつかまれた。


いた…っ…。


頬に優子の爪が、ゆっくりと食い込んでくる。



「自分の立場わかってんの?久留米さーん。」


ギュウウウ…。


「……っ!」



まるでリンゴを捻り潰すみたいに、優子は指に力を込める。



ちぎれそう…。



怒りとかそんなことよりも、ただ痛くてたまらなかった。





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