【完】素直になれよ。




「…なして……。」


「あ?」


「離して…!」



私はできる限りの力で優子の手を引き離した。



頬に思い切り食い込んでいたせいか、無理やり引き離すと、


ガリッと音をたてて頬に傷をつけた。



「……あんた、自分がしたこと分かってんの…?」



「…え?」



振り払われた手を見ながら優子は言った。



「私たちの織川くんを…あんたは奪ったんだよ!!」



…私が、奪った?



「なにとぼけた面してんだよ。」

「男遊びならよそでやんなよ。」

「そーそー。織川くんにまで手、出さないでくれない?」



周りの女子たちも優子に続いてキャンキャンと騒ぎ出した。




…くだらない。


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