【完】素直になれよ。




あんな形でも、俺は本気でキスを仕掛けたつもりだった。


ちゃんとわからせてやりたかった。


"ココは俺専用だ"って。



『誰とでもキスできんだろ?』



不意に自分が言ったことを思い出した。



…ほんと…あいつの言う通り、バカだな俺。


勝手に嫉妬して、強引に唇を奪おうとして。



情けねぇ…。





黒板消しをチョークの横に置いて、大きなため息をついた。



「お。織川〜」



…?


そのとき廊下から俺を呼ぶのんきな声が飛んできた。



「桜井?」



廊下側の窓ごしに、俺に向かって手招きをしているのは、

間違いなく桜井だった。



…俺は一日に何回こいつ顔合わせればいんだよ。



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