【完】素直になれよ。
そんなことを思いながらも、廊下に出て桜井の元に向かった。
「なんだよ。」
「あのさー、衿華ちゃんどこ行ったか知らない?」
…久留米?
「…知らない。いないなら帰ったんじゃねーの?」
俺がそう答えると、桜井は後頭部をかきながら「うーん」と唸って言った。
「でも、荷物がまだ教室にあるんだよ。」
「え?」
「ほらあれ、衿華ちゃんのだろ?」
そう言って誰もいない一組の教室の中を指差す。
身を乗り出してその方向を見てみると、確かにそこには見覚えのある鞄がおいてあった。
…けど久留米の他にもチラホラと鞄が残っている。
それにうちのクラスも、この場には俺しかいないのに、
なぜか鞄がいくつか残っていた。
それも…全部女子のもんだ。