【完】素直になれよ。
「どうしたの、その傷...」
「あ...。えっと...もう、大丈夫だから。」
「擦り傷...と、痣も出来てる。」
「わっ...」
桜井は久留米と同じ目線になるようにしゃがんで、頬や腕を触って診る。
こいつ......っ。
「...もーいいだろ。久留米は俺が送るからお前は引っこめ。」
横から口をはさむと、桜井はいつも通りのニヤリとした笑みで俺を見てくる。
「そ?じゃあ頼むわ。」
......もしかして、単に俺を妬かせたかっただけ?
「行くぞ久留米。」
「えっ...」
俺は久留米の身体を支えて立たせた。
「お前に触れていーのは俺だけだ。」
「......は...?」
桜井に聞こえないように久留米の耳元でそう呟くと、彼女は顔を真っ赤にさせて視線をそらした。