【完】素直になれよ。
▶第2章
「ありえない」…衿華side
始業式の夜が明けて
まだショボショボしている目をこすりながら
リビングへ向かう。
夏休み明けはやっぱり朝が辛い。
「おはよ。」
「あ、衿ちゃんおはよう」
私を″衿ちゃん″と呼ぶのは
今ストッキングを履いているお母さん。
「お母さん、今日も遅くなるけど…大丈夫??」
「へーきへーき。」
「そう??…学校はどう??楽しい??」
「楽しい楽しい。早く仕事行かなきゃ遅れちゃうよ。」
いつもと変わらない返事に
少しだけ表情を歪めつつも
時計を気にしているお母さん。
高校に入ってから
お父さんは単身赴任で
海外に行ってしまい
いま私はこの
毎日忙しいお母さんと二人暮らし。