【完】素直になれよ。
無造作にある部屋の扉が閉じられると、廊下の騒がしさが嘘のようにシャットダウンされた。
保健室じゃん...。
独特な匂いが鼻の奥をツンとさせる。
「...受付誰もいないじゃん。」
そう。
いまここにいるのは、私と織川の二人だけ。
「お前の声が聞こえたから抜けてきた。」
「......。」
なにも言えない私と、目の前で口の端を持ち上げる織川。
たった一つの扉で遮られてるだけなのに、
外から聞こえる声がものすごく遠くで響いてるような...変な感じがする。
まるで、私たち二人だけのための空間が作られてるみたいな。