【完】素直になれよ。
「...だって、嫌なの」
「...いや?」
「私...どんどんあんたのこと好きになって、欲張りになって、曖昧な関係のままじゃ嫌だって思うようになっちゃって...。
だけどそれと同じくらい失うのが嫌なの...っ」
怖かった。
全部伝えたら、『勘違いすんな』っていなくなっちゃうような気がして。
織川はそんな奴じゃないって分かってるのに、不安が積ってどうしようもなかった。
あーほら、そう考えるだけで鼻の奥がツンと痛む。
目頭が熱くなる。
「バッカじゃねーの。」
「...え?」
近距離で大きな声を出す織川を見上げた。
「いらないこと心配すんじゃねー...。」