【完】素直になれよ。
「素直になれよ。」...衿華side
文化祭から約1週間。
衣替えもしてようやく秋の香りが風邪に乗って漂ってきた。
制服に着替えてケータイを開く。
―――『未読メール一件、差出人:織川結斗』
「げ。」
思わず顔が引きつる。
そういえば今日、出かける約束してた...気がする。
いや...忘れてたわけじゃない。
ただそれよりも私には重大なことが...
「......ハァ...」
ため息を一つついて、通話ボタンを押した。
プルルル...プルルル...。
『...なんだよ。』
電話の奥で平然を装う織川の声。
本当は楽しみにしてたくせに...嬉しいくせに...。