【完】素直になれよ。




「もう!何やってんの?!恥ずかしいじゃん!」


なるほど。

頬が赤いのは恥ずかしいからなのね…。


「何が恥ずかしいのさ〜」


いつもの調子で言うと、衿華はしかめっ面で私を見下ろした。



「他校の制服で目立つ紗希に手なんか振られたら、一気に私が注目されるじゃん!」


…そういうことね。


実際、校門の前で話しているいまでも、通りすがりの人たちは私たちに目配せしている。



私は別に構わないけど、衿華って意外と目立つの苦手なんだよねぇ…



「ごめんごめんっ。じゃあ聞かせてもらおう。色々と」



「…どこらへんが"じゃあ"なのよ」



「まぁ細かいことは気にしないで…」



私が衿華をそう宥めていたちょうどそのとき、


「お前、なにやってんの?」



私の後ろで低い声が聞こえた。



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