【完】素直になれよ。
レンズの奥の瞳は
まるで私の心を見透かしているような気がする。
「嫌いなの?」
ブラシ枝の先に手をかけて
なにかを企むような笑みを見せる織川が
なんだか少し、少しだけ…色っぽく見えた。
「嫌い…」
顔色一つ変えずにそう発する私を見て
またフッと笑う織川。
なにがおかしいのか
私にはさっぱり分からないけど…。
「じゃあ…俺は?」
「大嫌い。」
なんの躊躇いもなく織川にそう言い放つと
今度はプッと吹き出した。