【完】素直になれよ。
こんな風に笑うときもあるんだ…。
目を細めて
くしゃっと頬をゆるめて笑う織川を見て
こっそりそんなことを思っていた。
だって私いままで
こいつの作り笑いしか見たことなかったし。
「てゆーか…なんで知ってるの?男嫌いだってこと。」
ジャージのポケットから
タオルを取り出して
首筋の汗を吸い取りながら私は聞いた。
「聞いたんだよ。」
聞いた?
「昨日お前、俺から逃げた後桜井と保健室で話してただろ?」
それじゃあなんだ…
私の…弱音吐いてるとこ…
「…本気で言ってんの」
嫌な音を立てる心臓を
必死で押さえながら織川の視線を捕らえた。
すると彼は
いつになく腹黒い笑顔で
「あぁ。」
そういって頷いたんだ。