【完】素直になれよ。
「変態だと…?」
持っているブラシを
地面にたたきつけながら
ズカズカと私に近寄ってくる
不気味な男。
「盗聴してたんでしょ?変態じゃん。」
負けるもんかと言ったその台詞が
さらに織川の怒りを煽った。
「…変態呼ばわりされるなんて貴重な初体験をどうもありがとう。」
うわ…本気でキレてる。
鬼の形相をした
織川の顔のドアップが
私の視線に飛び込んだ。
思わず後ずさりして
足を後ろにずらすと
プールの底に水たまりのように溜まっていた水が触れて
少しだけヒヤッとした。