【完】素直になれよ。
そんな私に構わず
後ずさりをして距離を離すと
また詰め寄ってくる。
なに?これ。
「…っあのさー!」
足を止めて私がそう叫ぶと
織川も「声でけーよ」と言いながら立ち止まった。
「なんであんた、私の前でそんな性格なの?」
一番気にかかっていたことを聞くと
織川はふっと鼻で笑った。
「お前に俺の素性バレたところで、誰にも広まんねーだろ?」
「……。」
つまりそれは
私には広める友達なんか
この学校には居ないし
もし私が誰かに話しても
誰も相手にしてくれない。
そういうことね。
「へー…よく分かってんだね?私のこと。」
引きつった笑顔で私は言った。