【完】素直になれよ。
────────……
暑い…。
全校で900人弱いる生徒が
ざっとこの狭い体育館に集まって
校長の話を聞いている。
正直のところ
始業式なんてどうでもいいし、
それよりなにより
私は早く買い物に行きたい。
そんなことを思いながら
マスカラで少しカールしてあるまつげを
クリンと指先で撫でた。
汗で化粧落ちちゃうじゃん……。
「以上を持ちまして、始業式を閉会します。」
…やっと終わった……。
ざわめきだす周り。
だけどいつも
私の隣はさらにうるさくなる。
「ねぇねぇ、織川くん宿題終わった?」
「今日早く終わるし、遊ばない?」
一カ所に集められる黄色い声。
その原因は
隣のクラスの織川結斗。
通称、王子様……らしい。