【完】素直になれよ。
俺はチラリと隣に目をやる。
長い髪がバスの振動で揺れて
通路側に頭をもたれかけているせいで
だんだんとうなじが露わになっていく。
白い肌にスッと綺麗になぞられる首筋のラインは
華奢な身体を強調していた。
あんなに生意気だった久留米が別人に見えてくる…
ガタンッ。
バスが大きく揺れる。
そのせいで久留米の身体が飛び跳ねて
身体ごと通路に飛び込みそうになった。
「あぶねっ…」
俺は身体を捻って
彼女の左肩を右手でがしっと捕まえた。