【完】素直になれよ。





睡魔に負けたとはいえ、
織川の肩の上に………


「あーもう!思い出したくもない!」


そう叫んだ私の声は
穏やかな店内にこれでもかと響き渡って

一気に視線が集まった。



「…衿華…?」


長いまつげをパサパサと動かして私を見つめる紗希。



「ごめん、ちょっとやなこと思い出しちゃって。」


「いいけど…なんかあったの?」



なんもない…はずだったのに。

あいつと関わることなんて
絶対ないはずだったのに。



「私と先生が話してるとこ、盗み聞きしてたんだよそいつ!」


「ははーん…、それで知られちゃったわけねぇ」



そうだ。


もとはといえば
あいつが私に突っかかってきたのが始まり。



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