【完】素直になれよ。
結局私たちは冷めた料理を食べて
そのカフェをあとにした。
「んじゃ、"クレッシェンド"行こっか!」
「うんっ」
紗希の言葉に強く頷く私。
"クレッシェンド"っていうのは、
私が一押ししているブランドのお店。
このショッピングセンターに、そのクレッシェンドのお店があるんだ。
始業式の日に行けなかったから
本当に楽しみで...。
「やっぱ私は、秋に備えてアウター買おうかなぁ」
人差し指を顎に添えて
にっこりほほ笑む紗希を見て、私も笑顔になる。
「私は新作のワンピかな」
「あれ、衿華に似合いそうだもんねっ」
二人でキャーキャー騒ぎながら
混みあう人の中を進んで、クレッシェンドに向かった。