【完】素直になれよ。






この声...。


本能的にムカついてくる。



「やっぱり。」


声の主は、織川だった。



織川はクレッシェンドの向かいのアクセサリーショップに


腕を組んで欠伸をしながら、突っ立っていた。




『おいてくぞ』ってことは
他の誰かと来てるってこと?


てゆーかなんであいつがアクセ...?




「衿華っ、買わないの?」


「...あ、ごめん今行く。」



レジの方で私を呼ぶ紗希のもとへ向かった。




「どうした?」


「や...なんでもない。」




なんでもない...なんでもない...。


頭で繰り返すその言葉。



なのになんで...。


気にしてるなんて、ありえない。





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