友よ
「何処へ旅行ですか?」

初老の運転士が話しかけてきた。

恐らく大きめの荷物を見てそう思ったのだろう。

「えぇ、まぁ…」

言葉を濁した。本当の事を言う気はなかった。

「今週は晴れの日が続く見たいですから、良い旅行になりそうですね」

目尻にしわを寄せ穏和な表情で語りかけてくる運転士。

「そうですね…」

気が急いて言葉に詰まる。
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