友よ
夏に吹く湿気混じりの熱風が、意味の分からない苛立ちが、不快感に追い討ちをかける。

2度は、味わいたくないあの別れ…。

あの時と違うのは、相手が友じゃ無い事。
あの時と違うのは、『じゃぁまた』とは言えない事。

そう、この地を再び訪れる予定は無いのだから…。

ホームへ入る新幹線、乗車する一瞬ためらう足。

うつむいている亜美。

「じゃぁね」

声になったか分からない。言ったつもり。
今の昭人にはそれが限界だった。

いざ、友の待つ故郷へ。
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