友よ
電車を降りた。途中の記憶がなかった。

どこで、乗り換えたのか覚えていない。亜美が何も言ってないのだから特に問題なくここまで来れたのだろう。

「ここが、あっくんの古里かぁ」

声を弾ませる亜美。視線をあたりに巡らせる昭人。

6年前と変わらない風景。
時計の針は6時半を差していた。

ホームは、綺麗な茜色にそまりまるであの日のまま時間が止まっているよう。
< 35 / 45 >

この作品をシェア

pagetop