友よ
「あ…うん。ただいま」

「ところで、その人は?」

まるで、今気付いたとでも言うような物言い。
さっきまで輝いていたのが嘘みたいな、したたかに冷えた瞳。

昭人は、礼がほんの一瞬見せた表情に寒気がした。

「えーと」

「あたしは、あっくんの彼女よ」

敵意むきだしで亜美が前に出た。

「そうなんだ?」

「元ね。」

昭人が亜美の言葉に付け足すように言った。

「ちょっと、あっくん!」

動揺する亜美。

「その子は、友達の後輩ね」
淡々と言い終えると歩き出す昭人。

「あっくん待ってよ!」

あわてて亜美が追いかける。
礼は、そのばに立ち尽くしたまま動かなかった。
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