友よ
亜美は入口から見て部屋の左奥にあるベッドに座って前に足を投げ出した。

「あの子さー」

「あの子?」

「駅にいたあの子」

「あぁ」

「かなりあっくんの事好きなんだねぇ」

「は?」

亜美の言っている事についていけない。

「女の勘~」

「なるほど」

何となく理解できた。やっぱり性別が同じだとある程度勘みたいなものが働くのだろう。

「…なんて、そんなわけないじゃーん」

返す言葉が見つからない。

「あれだけ敵意むき出しにされたら、女じゃなくたって分かるわよ」

昭人はあの冷えきった瞳は、敵意とかそういうモノを超えていた気がした。

「そんなことよりー。おなか減ったぁ。あっくんは減ってないのぉ?」

「そうだね。何か食べようか」
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