蜜柑の翼
「水泳部に入ったのだって学校でジャージ姿で居られるからだろ?
俺、海以外でお前が泳ぐなんて信じられなかったもんな」
郁の粗野な言動を気にした風もなく雅史は言葉を続ける。
「圭一さんも驚いていたもんな」
「兄貴が?」
「そう。俺じゃなくて本当は郁にダイビングショップ手伝って欲しかったんだぜ?
それぐらい郁の海での泳ぎに関しては一目置いているもんな」
郁は海に向かって小さくため息をつく。
この幼馴染はカッコよく背も高いが、どうも郁の兄、圭一に崇拝しすぎている部分がある。
何かにつけて『圭一さんは……』と持ち出す。
崇拝するだけなら良かったのだが最終的に圭一の経営するダイビングショップのアルバイトで働かせてもらうように頼み込み、時給500円で働いている。
そんな雅史の圭一信者ぷりには郁はほとほと呆れている。
俺、海以外でお前が泳ぐなんて信じられなかったもんな」
郁の粗野な言動を気にした風もなく雅史は言葉を続ける。
「圭一さんも驚いていたもんな」
「兄貴が?」
「そう。俺じゃなくて本当は郁にダイビングショップ手伝って欲しかったんだぜ?
それぐらい郁の海での泳ぎに関しては一目置いているもんな」
郁は海に向かって小さくため息をつく。
この幼馴染はカッコよく背も高いが、どうも郁の兄、圭一に崇拝しすぎている部分がある。
何かにつけて『圭一さんは……』と持ち出す。
崇拝するだけなら良かったのだが最終的に圭一の経営するダイビングショップのアルバイトで働かせてもらうように頼み込み、時給500円で働いている。
そんな雅史の圭一信者ぷりには郁はほとほと呆れている。