【完】麗しの姫君


「あの、ありがとうございました…」


「いいえ、てか家近いんだし、一緒だよ」


はい、送ってもらっちゃいましたー。


しかもまさかのご近所さん。


これじゃあ部屋着でコンビニ行けないじゃんか。


気を付けよう……。


「じゃ、また明日、ね」


「…あ、はい。また、明日…」


スッと去って行く先輩の車。


見えなくなるまで見送って、


「…また明日、かぁ…」


きっと、忘れてるに決まってる。


「うん、忘れてるよ」


私のことからかって、暇つぶしにしただけ。


私は騙されないんだから。


ふんっ


「ケーキ食べてお茶しよー」


パパがお土産に買って来てくれた、老舗ホテルのシェフお手製のロールケーキ。


いっぱい食べちゃおー。


ティータイムがティータイムじゃなかったからね。


別に、振り回されてなんかないし。


私はいつも通りだし。


気になんかしてないし。

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