【完】麗しの姫君
「姫、お弁当なんだ」
「あ、はい…」
なんで、こんなことになってるんだろう。
行かない、つもりだったのに…。
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お昼の鐘が鳴って、食欲は無いけれど、パパの手作りのお弁当をカバンから取り出して、瀬菜と恵斗の元へと向かう、つもりだった。
その時、カチャリと扉が開く音が聞こえて、何気なく振り向いてしまった、それが大きな後悔。
「あ、いた。姫」
「先、輩…」
まさか、
「もしかして、来ないかもって思って、迎えに来た」
迎えに来たって。
「行こ?…連れてってもいい?」
瀬菜、恵斗…!
「はい、もちろん」
「どーぞどーぞ」
…こいつら。
「じゃ、姫、行くよ」
「…はい」
「「行ってらっしゃーい」」
「…………」
はぁ、気が、重い。
私とお昼ご飯食べる理由はなんだろう?
からかってるの?
一歩前を歩く、細いけれど、しっかりした背中に心の中で尋ねてみる。
そんなこと、聞けないよなぁ…。