【完】麗しの姫君
「〜♪」
教室へと戻る途中。
「………スキップしてたよ、恥ずかしい」
そう。なんだかんだ言って、結構楽しんでしまった。
香坂先輩が、あんなに喋ってくれると思ってなかったし。
って、大体は私に気を遣ってくれたんだろうけど。
…本当、先輩はどういうつもりなのかなぁ。
全然わからないよ。
カチャ
「………?」
…なんだろう、これ。
教室に入った途端、背中に感じたのはたくさんの視線。
…?私、なにかした?
「姫」
「…瀬菜?」
なにこの空気。
…の前に、あんたと恵斗の表情がなんか嫌なんだけど。
「姫、王子様はどんなだった?」
「………?王子?どの?」
「…そうだ、そうだったね、うん。和泉様の方だよ」
「あぁ…そっちね。……嫌い。以上」
「………えー‼」
「…あんた、なにがあったのよ」
「……根本的に嫌い。合わない。性格悪い」
「そこまで⁈あのキラキラ王子様が⁈」
「……恵斗も喋ればわかるよ」
「えーー」
「…まぁ、胡散臭そうな顔してるっちゃあしてるわよね」
「瀬菜までそんな事言うー」
…騙されるな、恵斗。
あいつは悪魔だ。
人のことグサグサ刺して喜ぶ王子の皮かぶった悪の大魔王だ。