【完】麗しの姫君
と、ここまではのんきに構えていた私ですが、これからが災難の始まり。
クラスメイトだけだと思っていた、私の噂?興味?は、実は高等部中に広まっていて。
そりゃ相手が高等部の王子様。
天辺にいらっしゃるお方ですから。
私みたいなチンケなアリンコは弾かれるに決まっていて。
こうなるわけです。納得。
「……向井さん、だっけ?」
「はい…」
「あたし、陸くんと同い年の田中玲。よろしく」
ほぼ金髪の髪をクルクル巻いて、リップグロスがテカテカの口元を引きつらせながら笑う、目の前の、田中さん。
よろしくしたくねーし、目笑ってねーし。
「…はぁ、よろしく、お願いします…」
「それでね?…あたし回りくどいの嫌いだから単刀直入に聞くけど、…陸くんとは、どういう関係?」
来たーー、ベタな質問ベタな展開!
少女漫画みたい!
「……ちょっと、聞いてる?」
「あ、はい」
おっと、やばやば、顔が余計に引きつってる。